ある日突然家族が脳梗塞・脳出血で倒れたら…
誰しも起こりうる可能性があることですが、初めて経験することばかりで「どうすれば良いの…?」と分からない人がほとんどだと思います。
本記事では、もし家族が脳梗塞・脳出血を発症してしまった場合の注意点を、リハビリの専門家である理学療法士の視点から挙げていきたいと思います。
まずは治療
まずは救急病院へ
脳卒中は時間との勝負です。
以下の症状が見られたらすぐに救急車を呼んで治療を受けることをオススメします。
この時の1分1秒がこの先の人生を大きく左右することもあるため、とにかく早く治療を受けることを覚えておいてください。
またアメリカの脳卒中学会では、3つのテストが推奨されています。
◯ 顔:Face
質問「笑って下さい」
ポイント【片方の顔が下がっていませんか】
【口角が下がっていませんか】
◯ 上肢:Arm
質問「両手を挙げてください」
ポイント【片方の手が下がってきませんか】
◯ 発話:Speech
質問「簡単な文章を言って下さい」
ポイント【ろれつがはっきりと回っていますか】
【文章を正しく繰り返せますか 】
【言葉が理解できていますか】
出来るだけ早く(Fast)救急車を呼ぶか受診する
これら3つのテストの頭文字とFastの頭文字ををとって【ACT FAST】と言います。
最初に入院する病院は【急性期病院】
救急車で運ばれる病院を我々は【急性期病院】と呼んでいます。
主に病気の治療を行うために入院し病状の安定化を目指します。
この時、症状の重症度にもよりますが多くの人がベッド上でのリハビリが開始されます。
まずは座れるように、次に車椅子に移乗できるように、そして立てるようにと徐々にリハビリの内容が変化していきます。病状の安定と主に体の状態は大きく変化していきます。
1ヶ月くらい入院すると自宅に退院するか、それともリハビリ専門の病院へ転院するかを医師を中心に決定します。厚生労働省のデータによると、約半分の方が自宅へ退院しもう半分の方が転院になります。
ここでポイント!
・急性期病院から自宅退院になるのか転院になるのかで今後の対応が変わる
・自宅退院の場合は外来でリハビリができるかを確認
・転院の場合は、病院を自分で探すのかいくつか紹介してくれるのかを確認
自宅への退院となったら
自宅退院の場合、多くは日常生活を問題なく送れる状態まで回復していると思います。ですが、指が痺れている、足が張るなど症状が全て回復していないことも少なくありません。
その場合には、退院後もリハビリを受けられる環境が必要になります。入院していた病院で退院後も外来でリハビリを行えるのかを必ず確認しましょう。
もしできない場合は、近隣の病院やクリニックでリハビリを受けることもできますので安心してください。もちろんプラシムの様な自費リハビリを受けることもできますが、脳卒中を発症してから180日間は保険を使ってリハビリを行えるので、まずは病院でのリハビリをオススメしています。
リハビリ病院への転院となったら
リハビリ病院への転院が決まると、転院先の病院を決めなければなりません。この時いくつかのパターンがあります。
1. 転院先を紹介してくれる
2. いくつか紹介してくれて自分で選ぶ
3. ゼロから自分で探す
1の場合は病院同士で連携が取れているので心配いりません。時期など主に病院が決めてくれます。ただ、自宅から遠いなど違う病院への転院を希望する場合は、病院に相談してみてください。
2の場合は、病院が選んだ中から見学をして決めていきます。実際にご家族に「そのリハビリ病院にした決め手はなんですか?」とお聞きすると、「施設が綺麗だったから」「設備が充実していたから」とハード面に関する理由が多いです。
もちろん数ヶ月入院する病院なのでハード面は重要です。では、その他にどんな点に注意すれば良いのでしょうか。
ここでポイント!
リハビリ病院を選ぶ時の注意点
1. 1日もしくは1週間のリハビリ提供時間
リハビリ時間は多いほど良いです。脳卒中の場合は1日3時間リハビリを行うことができます。さらに、日曜日や年末年始にリハビリがあるのかも重要なポイントです。
2. 言語聴覚士のスタッフ数
脳卒中の多くは高次脳機能障害を伴います。専門家である言語聴覚士によるリハビリを毎日受けることができるのかも重要なポイントです。
3. 脳卒中を専門にする理学療法士や作業療法士が在籍しているか
リハビリ病院には脳卒中以外にも骨折の患者も入院しています。つまり脳卒中だけをみているわけではありません。脳卒中に特化したリハビリ病院もありますので、見学した病院はどうなのか質問してみるのも良いと思います。また、専門ではなくても理学療法士や作業療法士の中には脳卒中を専門にしていたり、リハビリ部門の中で脳卒中と骨折の班を分けている病院もありますので大切なポイントです。
3のゼロから探す場合も、上に書いたポイントで探すことをオススメします。また自宅から遠いとお見舞いに行くのが大変なため、通える距離で探すことも重要です。
リハビリから退院へ
回復期病院でのリハビリは1日最大3時間
急性期病院から転院するリハビリ病院を我々は【回復期病院】と呼びます。その名の通り、脳卒中を発症後最も回復する時期に入院するためです。
回復期病院では【生活の自立】を目的にリハビリが行われます。最大の目標は自宅退院で、そのために必要な練習や機能訓練を中心に行います。1日最大3時間、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が1時間ずつ行うことが多いです。
脳卒中のリハビリにおいて最も量が多い時期であり、最も大きく改善する時期でもあります。
退院に向けて
回復期病院に入院して3ヶ月ほど経過すると退院の準備が始まります。当事者の状態や年齢にもよりますが、自宅退院を例に準備を紹介していきます。
ここでポイント!
1. 自宅の環境整備:病院から【家屋評価】と称し自宅へ訪問します
2. 介護保険の申請:病院のソーシャルワーカーに相談し入院中に申請することができます
3. 退院後のサービスの準備:デイサービスや訪問リハビリなど介護保険の使い道です
介護保険を申請し、認定がおりると担当のケアマネージャーが決まります。退院後の介護保険のサービスが基本担当のケアマネージャーが振り分けなどを行います。
退院から新たな生活へ
退院からがスタート
回復期では【日常生活の自立】が目的であることはすでに書きましたが、退院後は様々な課題が残っています。
復職、家事、趣味活動。これらは回復期病院では時間的な制約で手が回らないことがほとんどなため、退院後にリハビリで取り組んでいく必要があります。
数年前までは、回復期病院を退院後は介護保険でのリハビリしか選択肢しかありませんでした。回復期のリハビリと比べると量は1/10以下に減少し、内容も不満を感じる人が多いという問題がありました。
特に30代40代とまだまだ働き盛りの人にとっては大きな問題です。
そこで介護保険では賄いきれない部分を補填するために生まれたのが自費リハビリです。
保険適応外のため全額負担にはなりますが、回復期病院ではやりきれなかった部分や介護保険のリハビリでは時間的に介入できない部分を行うことができます。
復職や生活の質を向上したい人に向けた新しいサービスです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
脳卒中の発症からリハビリ病院の退院、さらに退院後の生活まで少しでもイメージが湧きましたでしょうか。
今後について不安な点がございましたらお気軽にご連絡ください。無料で相談に乗らせていただきます。
退院後の生活、またリハビリで大切なのは【今できないこと】よりも【今できること】に目を向けて、始めてみることがとても重要です。いつまでもできないことに目を向けている人よりも、今できることを積極的に行っている人の方が、リハビリで改善が見られやすいです。
プラシムのリハビリは、そんなあなたの可能性を見付け生活を変えていくことを基本に、改善を目指していきます。
気になる方は1度お問い合わせください。