脳卒中や骨折で歩行が不安定になると、杖を使ったり装具を着けたりして歩行を補助します。リハビリを進めていく中で疑問が1つ生まれます。それは…
「杖や装具…一生使わないといけないの?」
どうすれば杖は外せるのか?杖を外すタイミングはいつなのか?
杖を外すタイミングに悩まれている人はぜひご参考ください。
杖の種類と役割
杖には様々な種類があり、各杖には役割があります。例えばこの2種類が代表的な杖になります、
この他にも松葉杖や歩行器など杖には様々なものがありますが、今回は使用頻度の高いこちら2種類の杖についてご紹介します。
T字杖
最もスタンダードな杖で、屋外で使用するのに適した形状になっています。一方で、支持する部分があまり大きくないため、体重を乗せるための杖ではありません。〈杖=体重を乗せる〉と思っている人も多いため『じゃあT字杖は何のために使うの?』と疑問に感じるかと思います。そこで重要なのが支持基底面です。
支持基底面
支持基底面とは体重を支える面のことを指していて、床などに接している体の部分を結んで出来る面で出来ています。
図のように足を閉じて立つよりも足を開いた方が安定するのは、両足を結んで出来る丸が足を開いた方が大きくなるからです。つまり支持基底面が大きくなると安定します。では杖を使うとこの支持基底面はどうなるのでしょうか?
一目瞭然です。杖を着くことで支持基底面が大きく広がり、安定性が向上します。このようにT字杖は体重を乗せて安定させるよりも、手でもバランスを取れるように支持基底面を広げることが最大の役割になります。
4点杖
4点杖の最大の特徴は、地面に着く部分が4つあり杖自体の支持基底面が広くなっている点です。その結果、ある程度体重を乗せても安定して使用できリハビリでも頻繁に使われる杖です。
一方で屋外の道路のような凸凹した地面で使用するのに不向きで、室内や整地での使用が主になります。
杖を外すために必要なこと
このように杖は安定性を向上することが最大の役割です。つまり杖を外すためには『杖がなくても安定している』ことが必要になります。では安定した状態とはどんな状態なのでしょうか?
1.立った状態で左右均等に体重移動が出来る
2.その場で左右両方から後ろを振り向ける
これらが出来ればほとんどの場合安定しています。ですが安定した歩きにはさらに必要なことがあります。
1.つまずかない
2.段差昇降が出来る
3.地面の硬さや材質で歩きやすさが変わらない
安定して歩くためには支えると足を前に出すを同時にスムーズに行えることが大切です。
理学療法士が勧める杖を外すタイミング
ここまで安定性を中心にご紹介してきましたが、杖には心理的安心感をもたらす効果があります。そのため身体機能面では杖はもう必要なくても、不安から杖を「外さない方が良い」場合もあります。杖は無理やり外すわけではなく、自然と必要がなくなるようにするのが大切です。
いかがでしたでしょうか?
プラシムでは杖を外して歩けるようになりたい人のリハビリを行なっています。『家の中は杖なしで歩きたい』などのご希望に合わせてリハビリプログラムをご提案します。まずはお気軽にご相談ください。