脳梗塞・脳出血によって感覚がわかりにくくなる症状には感覚障害と知覚障害があるのはご存知ですか?
実はその感じにくさは感覚麻痺ではないかもしれません!
脳梗塞や脳出血のリハビリでは、「感覚」と「知覚」を明確に分けてリハビリを行っていくことがとても大切で、ほとんどの場合ごちゃ混ぜになってしまい【感じない・感じにくい】でひとまとめにされてしまいます。
感覚障害と知覚障害では原因が全く違います。
原因が違えばリハビリの内容はもちろん変わりますし、改善の可能性も大きく変わりますのでぜひ最後までご覧いただきリハビリの参考にしてください。
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感覚と知覚
1.感覚
感覚という言葉をリハビリでわかりやすくするために【感覚器に入力された刺激が脳に伝達されるまで】を指します。
ここで重要なのは、感覚のレベルでは、まだ自覚できていないことです。
人は生きているだけで、無数の感覚が入力されていてこれらすべてを自覚してしまうとスムーズに動けなくなってしまいます。
そのため視床や脊髄にあるフィルターで自覚したい感覚を選別しています。
感覚が障害される時は次のような時があります。
1. 皮膚や関節などの体に存在する感覚器を損傷した時
2. 脳の頭頂葉にある感覚野を損傷した時
3. 脊髄を上行する神経線維を損傷した時
4. 並びに脳の中の感覚を伝達する神経線維や脳領域を損傷した時
疾患で言えば脳卒中や脊髄損傷、末梢神経障害などで感覚障害が生じます。
症状としては、痺れがみられたり、感覚が脱失したりします。
2.知覚
感覚は自覚出来ない段階を指しましたが知覚は、刺激を自覚するプロセスを含みます。
そのため感覚よりも多くの機能(注意機能、記憶など)が必要で、感覚よりも高次の機能と言えます。
知覚の重要な点は人が同時に知覚出来る数には限りがある点です。
例えば椅子に座ってパソコンを操作している時にお尻の体重や指でキーボードを叩く感じに集中すると、パソコンの画面の内容がわかりくくなります。
リハビリで良く耳にする歩行ではどうでしょうか?
歩行中は手足が常に動いていますが、視覚からの情報収集に注力しています。
この時の足が動いている感じや足の裏の接触感は意識にのぼらずに無意識で処理されています。
歩行中の感覚で重要なのは、いつでも体に注意を向ければ知覚できる状態である点です。
脳梗塞・脳出血による【感じない・感じにくい】症状は感覚を意識しても知覚(自覚)出来ない状態になっていることがほとんどです。
つまり後遺症の多くが感覚障害ではなく知覚障害なんです。
では知覚にはどんな種類があるのでしょうか?接触を例に挙げていきます。
1. 刺激があるのか、無いのか
2. 身体のどこに刺激が入力されたのか
3. どれくらいの圧の刺激か
4. どれくらいの大きさの刺激なのか
5. どれくらいの長さ刺激が加わっているのか
6. どんな感じがするのか(硬い柔らかいなど)
この他にも摩擦や温度など様々な知覚があります。
表在感覚を評価する時にはこれらすべてを評価して、患者さんが知覚出来るもの・出来ないものを整理してリハビリを行っていきます。
感覚障害と知覚障害の見極め方
感じない原因を追求していくと【感覚麻痺】ではなく【感覚を自覚する能力の問題】の重要性に気付きます。
今までの500名以上の脳卒中後遺症の方のリハビリの中では、感覚に関与する神経を損傷する感覚麻痺による感覚障害よりも、様々な機能が関与する知覚の障害の方が改善可能性が高く80%以上の割合で変化が見られました。
つまり感覚障害なのか知覚障害なのかをしっかりと見極めることでリハビリで改善できる感じににくさなのかを判断し、進めていくことが出来ます。
この2つを見極めるためにはいくつかポイントがありますが、最も簡単なのは【感じない・感じにくさが変化するかどうか】です。
昨日は感じたのに今日は感じない、集中すれば感じるけど気が散ると感じないなどその時その時で感じ方が変化する場合は知覚障害の可能性が高いです。
感覚障害は神経損傷による感じにくさなので、一定して感じないし感じにくいです。
一方知覚障害は注意機能や記憶などの高次脳機能が関わるため、環境や調子によって感じにくさが変わります。
このように様々な方法で【感じない・感じにくい】原因を見極めてリハビリを行っていくのがプラシムのリハビリです。
病院や介護保険でのリハビリとは異なる方法で学習による改善を目指すプラシムのリハビリをぜひ1度お試しください。