自費リハビリという選択肢が、少しずつ知られるようになってきました。

退院後もリハビリを続けたい。もっと自分の目標に合わせたリハビリを受けたい。保険制度の枠だけでは足りない。

そうした方にとって、保険外・自費のリハビリが選択肢になること自体は、とても良い変化だと考えています。

一方で、自費リハビリを提供する側にいるからこそ、最近強く感じることがあります。

これからの自費リハビリは、「あるか、ないか」ではなく「どんな質のリハビリが提供されているか」が問われる段階に入っているのではないか。

自費リハビリを利用する人は、すでに存在しています

厚生労働省の調査では、地域生活を送る調査回答者567人のうち90人(16%)が、医療・介護保険の適用外となるリハビリテーションを自費で利用したと回答しています。

この調査だけから「近年急増している」とまでは言えません。しかし、公的保険とは別に費用を負担してでもリハビリを求める人が一定数いることは確認できます。

自費リハビリが広がること自体を問題にしたいわけではありません。

むしろ、利用者の選択肢が増えることには大きな意味があります。 だからこそ、その次に「質」を考える必要があります。

最近、他の自費リハビリを経験した方からの相談が増えています

PLUSIMで実際に聞いている声

最近Plusimへご相談いただく方の中には、すでに別の自費リハビリを利用した経験がある方もいます。

その中で、提供された内容への不満を耳にすることが増えてきました。

「毎回、同じようなことをしていた」

「何のための練習なのか、よく分からなかった」

「保険のリハビリと何が違うのか分からなかった」

「自分の症状について十分な説明がなかった」

もちろん、これはPlusimへ相談された方から聞いた経験であり、自費リハビリ業界全体の質が低下していることを示す統計ではありません。

また、他の自費リハビリ事業者すべてに当てはまる話でもありません。

それでも、高額な費用を自ら負担してリハビリを受けた方から、このような声を繰り返し聞くようになったことは、提供する側として無視してはいけないと感じています。

「自費だから専門的」とは限りません

自費リハビリには、公的保険サービスとは異なる自由度があります。

しかし、保険を使っていないこと自体が専門性になるわけではありません。

自費だから質が高い。
料金が高いから専門的。
資格を持っているから十分。

利用する側から見れば、そう感じてしまうこともあるかもしれません。 しかし、本来それぞれは別の話です。

経験年数が長ければ必ず良い、若ければ悪い、という話でもありません。

ただし、自費で専門的なサービスとして料金をいただく以上、疾患への知識、評価、臨床推論、リスク管理、介入技術、説明する力など、提供する内容に見合った専門性は必要だと考えます。

「場所が変わっただけ」になっていないか

ここは、自費リハビリを提供する側が一度考えなければならないところです。

病院や介護保険で行っていたリハビリと同じ内容を、場所だけ変えて自費で提供する。

それだけで、利用者が高額な費用を負担する価値になるのでしょうか。

これは、医療保険や介護保険で行われるリハビリの質が低いという意味ではありません。 公的保険のリハビリには、それぞれ制度上の役割があります。

むしろ自費サービスには制度上の制約が比較的少ないからこそ、一人ひとりの目標や生活に合わせて評価し、必要な介入を選び、結果を確認するという自由度を活かす責任があります。

リハビリの質は「何をやったか」だけでは測れません

脳卒中リハビリの国際的なガイドラインをまとめた研究では、専門的なリハビリ体制、本人や家族を含む目標設定、目標の見直しなどが重要な要素として整理されています。

また、患者中心の目標設定に関するオープンアクセスのレビューでは、実際の目標設定にはばらつきがあり、継続的なモニタリングや評価が十分に記述されていないことが示されています。

つまり、「筋トレをした」「歩行練習をした」「ストレッチをした」というメニュー名だけでは、リハビリの質は判断できません。

これからの自費リハビリに必要だと考える6つのこと

01 評価できる 症状だけでなく、なぜその動作が難しいのかを確認する。
02 仮説を持てる 評価結果から、問題の原因を考える。
03 説明できる なぜこの介入をするのかを本人・家族に伝える。
04 個別化できる 全員に同じメニューではなく、その人の状態と目標に合わせる。
05 再評価できる 介入した結果、何がどう変わったのかを確認する。
06 生活につなげる リハビリ場面での変化を、本人が望む生活や行為につなげる。

「経験がある」だけでも、「知識がある」だけでも足りない

リハビリは、人の身体を相手にします。

同じ脳卒中でも症状は一人ひとり違い、同じ「歩きにくい」でも原因は異なります。

研究を知っているだけでも十分ではありません。 一方で、長年同じ方法を繰り返しているだけでも十分とは言えません。

知識を更新し、目の前の人を評価し、仮説を立て、介入し、その結果からまた考える。

経験と知識を、目の前の一人にどう使うか。
そこに専門職としての質が現れるのだと思います。

Plusimも「選ばれる側」として質を問われます

これは、他の自費リハビリを批判して「Plusimだけが正しい」と言いたい記事ではありません。

Plusimも自費リハビリを提供し、利用者の方から費用をいただいている一事業者です。 当然、同じ基準で評価されるべきです。

  • なぜこの動作が難しいのか説明できているか
  • 評価に基づいて介入を選択しているか
  • 毎回同じことを漫然と繰り返していないか
  • 介入前後の変化を確認しているか
  • 本人が望む生活につながっているか
  • 知識や技術を更新し続けているか

こうした問いを、提供する側が自分たちに向け続ける必要があります。

自費リハビリが広がった次に必要なのは「質の担保」

自費リハビリという選択肢には、大きな可能性があります。

公的保険だけでは十分なリハビリの機会を得られない方、発症から時間が経っても新しい目標へ挑戦したい方、自分の生活に合わせて専門的なリハビリを受けたい方。

その受け皿になれるからです。

だからこそ、自費リハビリという名前そのものを価値にしてはいけないと思います。

自費リハビリという名前に、価値があるわけではありません。

保険を使わないことが専門性なのでも、高額であることが質の証明なのでもありません。

「なぜできないのか」を考え、説明し、必要な介入を選び、その変化を確認し、本人が望む生活につなげる。

自費リハビリが広がってきた今だからこそ、これから問われるのは「自費かどうか」ではなく、そこで何が提供されているのかだと考えています。

自費リハビリを社会に必要な選択肢として定着させていくためにも、Plusim自身、価格に見合う専門性と質を問い続けていきます。

今受けているリハビリについて相談したい方へ

「今のリハビリが自分に合っているのか分からない」
「他の自費リハビリを利用したが、別の視点でも評価してほしい」
「自分の症状や動作について詳しく説明してほしい」

Plusimでは、現在の状態を分析したうえで、必要なリハビリについて一緒に考えます。

Plusimに相談する

参考文献・資料

※論文は全文閲覧可能なオープンアクセス文献、公的資料は公式公開資料を使用しています。

  1. 厚生労働省.リハビリテーションに関する調査「4.4 自費でのリハビリテーションの利用」. 公式資料
  2. Patient-centered goal-setting in stroke rehabilitation: a scoping review. PMC全文
  3. A systematic review and synthesis of global stroke guidelines on behalf of the World Stroke Organization. International Journal of Stroke. 2023. PMC全文