今では少しずつ知られるようになった「自費リハビリ」。
病院や介護保険ではなく、 自分で費用を負担して専門的なリハビリを受けるという選択肢です。
しかし、日本で脳卒中後の方を対象とした 専門的な自費リハビリが広がり始めたのは、 それほど昔のことではありません。
なぜ、医療保険や介護保険によるリハビリがある日本で、 「自費でリハビリを受ける」というサービスが生まれたのでしょうか。
今回は、日本のリハビリ制度の変化とともに、 自費リハビリが生まれ、広がってきた歴史を振り返ります。
日本のリハビリは、長い間「制度の中」で発展してきました
日本のリハビリテーション医療は、 病院を中心として大きく発展してきました。
脳卒中を発症すると、まず急性期の病院で治療を受けます。
その後、状態に応じて回復期の病院へ移り、 集中的なリハビリを受ける。
さらに退院後は、 外来リハビリや介護保険による訪問・通所サービスなどを利用しながら 生活を続けていく。
現在では当たり前に見えるこの流れも、 長い時間をかけて整備されてきました。
2000年|回復期リハビリテーション病棟が誕生
日本の脳卒中リハビリを考えるうえで、 大きな転換点の一つが2000年です。
2000年4月の診療報酬改定で、 「回復期リハビリテーション病棟」が制度化されました。
脳卒中や骨折などによって身体機能が低下した方に対して、 医師、看護師、理学療法士、作業療法士などがチームとなり、 集中的にリハビリを行う仕組みです。
その後の「生活へ戻るためのリハビリ」を集中的に行う仕組みが 全国へ広がっていきました。
同じ2000年には介護保険制度も始まり、 退院後の生活を支えるリハビリや介護サービスも 徐々に整備されていきました。
2006年|リハビリに「算定日数」という考え方が導入
次の大きな変化が、2006年の診療報酬改定です。
この改定によって、 疾患ごとに医療保険でリハビリを算定できる 標準的な日数の上限が設けられました。
もちろん、医学的に必要な場合には 一定の条件のもとで継続できる仕組みもあります。
しかし患者さんやご家族からすると、
「まだ良くなりたいのに、受けられる機会が減った」
「退院したあと、どこで専門的なリハビリを受ければいいの?」
という悩みが生まれることもありました。
医療制度には、 限られた医療資源を多くの方へ届けるという重要な役割があります。
一方で、 一人ひとりが希望するリハビリの量や期間を すべて制度だけで満たすことは難しいという側面もあります。
2010年代|「退院したあとも、もっとリハビリをしたい」という声
回復期リハビリテーション病棟が全国に広がり、 退院後には介護保険サービスを利用できる環境も整っていきました。
それでも、 すべての方の希望がなくなったわけではありません。
特に脳卒中では、 退院したあとも長い期間にわたって 生活上の課題と向き合う方がいます。
「装具を外して歩きたい」
「麻痺した手をもう一度使いたい」
「仕事に戻りたい」
「趣味を再開したい」
そうした希望に対して、 既存の医療・介護制度とは別に 本人が自分の意思で専門的なリハビリを選ぶという考え方が 少しずつ生まれていきます。
2014年|脳卒中専門の自費リハビリが登場
大きな転換点となったのが、2014年です。
2014年9月、 東京都文京区本郷に 「脳梗塞リハビリセンター」の1号店が開設されました。
脳血管障害後の方を対象として、 保険外でマンツーマンの専門的なリハビリを提供する施設です。
現在では「自費リハビリ」という言葉も 少しずつ知られるようになりましたが、 当時は非常に新しいサービスでした。
本人が費用を負担して、 自分が必要だと思うリハビリを選択する。
脳卒中後のリハビリに、 新しい選択肢が生まれ始めた時期です。
最初から受け入れられたわけではありません
現在では全国各地に自費リハビリ施設や 訪問型のサービスがあります。
しかし、自費リハビリが登場した当初は、 医療・介護業界の中でも その考え方が広く受け入れられていたわけではありません。
「リハビリに自費という考え方は必要なのか」
「医療や介護の制度の中で行うものではないのか」
そうした意見もありました。
一方で実際には、 制度外でもリハビリを続けたいという方が存在していました。
「もっとリハビリをしたい」という本人や家族のニーズがあり、 そこに新しいサービスが生まれた。
自費リハビリの歴史を見るうえで、 ここはとても重要だと思います。
2015年前後から、自費リハビリが全国へ
脳卒中を対象とした自費リハビリサービスは、 2015年前後から大手事業者を中心に 全国へ施設を広げていきました。
その後は大規模な事業者だけでなく、 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などが 独立して自費リハビリ施設を開設したり、 訪問サービスを始めたりする例も増えていきます。
2021年には専門誌 「作業療法ジャーナル」でも、 「脳卒中に対する自費(保険外)リハの役割と支援の実際」 というテーマが取り上げられています。
つまり自費リハビリは、 一部の特殊なサービスから、 脳卒中後の生活期における一つの選択肢として 少しずつ認識されるようになってきたと言えます。
自費リハビリの流れを振り返る
脳卒中などの方が、急性期治療後に集中的なリハビリを受ける仕組みが全国へ広がる。 同年、介護保険制度もスタート。
医療保険によるリハビリの提供期間について、 疾患ごとの標準的な算定日数が設定される。
社会復帰やさらなる生活動作の改善を希望する方にとって、 制度外の選択肢へのニーズが顕在化していく。
2014年9月4日、 脳梗塞リハビリセンター1号店が東京都文京区本郷に開設。
大手事業者による全国展開に加え、 療法士個人による施設型・訪問型のサービスも増えていく。
店舗型、訪問型、オンラインなど、 さまざまな形の自費リハビリが提供されるようになっている。
自費リハビリは、保険のリハビリに代わるものではありません
ここは、Plusimとしてとても大切にしているところです。
どれか一つが正解ということではありません。
医療保険のリハビリを受けながら、 自費リハビリを併用する方もいます。
介護保険サービスを利用しながら、 さらに専門的なリハビリを受ける方もいます。
医療や介護を置き換えることではなく、
その方に「もう一つの選択肢」をつくること。
自費リハビリの黎明期から現場を見てきて
MESSAGE
自費リハビリは、この10年余りで大きく変わりました。
私は、脳卒中専門の自費リハビリが全国に広がり始めた時期から、 脳梗塞リハビリセンターの現場で長くリハビリに携わってきました。
当時は今ほど「自費リハビリ」という言葉も知られておらず、 利用される方から 「こんな場所があることを知らなかった」 と言われることも少なくありませんでした。
一方で、 退院したあとも 「もっと良くなりたい」 「まだやりたいことがある」 という方が本当にたくさんいることも、 現場で感じてきました。
自費リハビリが広がった背景には、 事業者側の都合ではなく、 そうした一人ひとりの希望があったのだと思います。
そして、自費リハビリは次の段階へ
自費リハビリが登場してから10年以上が経ちました。
今後は、単に 「保険外だから長くリハビリできる」 というだけでは十分ではないと考えています。
専門職が提供するからこそ、 身体や動作を詳しく評価する。
なぜその動作が難しいのかを分析する。
その人に必要なアプローチを考える。
そして変化を、 実際の生活へつなげていく。
自費だからこそ、より質が問われる時代になっていくと思います。
Plusimも、自費リハビリの歴史の続きをつくる
Plusimでは、 脳卒中後の方を中心に専門的な自費リハビリを提供しています。
私たちが大切にしているのは、 決まった運動を繰り返すことではありません。
「なぜ、その動作がやりにくいのか」 を分析することから始めます。
脳機能。
運動機能である筋肉や関節。
そして身体から入ってくる感覚。
それぞれを評価し、 必要なアプローチを考え、 最終的には実際の生活へつなげていきます。
これが現在のPlusim Methodです。
「もっとリハビリをしたい」が選択できる社会へ
日本には、 世界的に見ても充実したリハビリテーション医療があります。
病院で行うリハビリ。
介護保険で行うリハビリ。
そして、その先でも 「もっと取り組みたい」と思った方が、 自分の意思で選択できるリハビリ。
かつてほとんど存在しなかったその選択肢は、 この10年余りで少しずつ広がってきました。
Plusimも、 その歴史の続きをつくる一つの自費リハビリとして、 必要とする方へ専門的なリハビリを届けていきます。
CONSULTATION
自費リハビリという選択肢があります
「退院後もリハビリを続けたい」
「今のリハビリに加えて、もう少し取り組みたい」
「もう一度、専門家に身体を詳しく見てもらいたい」
利用するか決めていなくても大丈夫です。
現在のお悩みや、これから実現したいことからお聞かせください。
ご本人だけでなく、ご家族からのご相談も受け付けています。
参考資料
・日本リハビリテーション医学会 「回復期リハビリテーション病棟の現状と課題」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrmc/62/6/62_62.527/_article/-char/ja/
・関東甲信越ブロック理学療法士学会 「外来通院におけるリハ算定日数制限への対応について」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptkanbloc/26/0/26_0_69/_article/-char/ja
・株式会社 MEDIROM Rehab Solutions 「企業情報・沿革」
https://medirom-rehab-solutions.co.jp/corp
・作業療法ジャーナル 「脳卒中に対する自費(保険外)リハの役割と支援の実際」
※本記事では、日本における脳卒中領域を中心とした 専門的な自費リハビリの発展について紹介しています。 すべての保険外リハビリサービスの起源を示すものではありません。