痛みと感覚と運動から
線維筋痛症のリハビリ
線維筋痛症では、運動療法の有効性が多くの研究で報告されています。 しかし、「運動した方がいい」と分かっていても、 痛みや疲労が強く、思うように身体を動かせない方も少なくありません。
運動した方がいいのは分かっているけれど、痛くて動けない
少し頑張ると、翌日に強い痛みや疲労が出る
何を、どのくらいやればいいのか分からない
痛みが怖く、身体を動かすことに不安がある
それぞれを切り離さず、 一人ひとりの状態に合わせてリハビリを組み立てます。
「自分の場合も対象になるか聞いてみたい」というご相談でも大丈夫です。
EVIDENCE
線維筋痛症とリハビリ
線維筋痛症では、薬物療法だけでなく、 運動療法や患者教育などの非薬物療法も重要とされています。 特に運動療法は、現在のガイドラインや複数の研究で、 痛みや身体機能、生活のしづらさに対する有効性が報告されています。
国際ガイドラインでは
線維筋痛症に対する非薬物療法の中で、 運動療法は特に重要な位置づけにあります。
有酸素運動
ウォーキングや自転車、水中運動など。 痛みや疲労、身体機能、QOLの改善が報告されています。
筋力トレーニング
適切な負荷で行う筋力トレーニングも、 身体機能や痛み、日常生活への影響を改善する可能性が示されています。
患者教育
痛みの仕組みや活動量の調整方法を理解することも、 運動やセルフマネジメントにつなげるために重要です。
段階的な活動
いきなり強い運動をするのではなく、 体調や疲労、翌日の反応を見ながら徐々に活動量を調整します。
ただし、「運動が有効だから、とにかく動けばいい」という意味ではありません。 線維筋痛症では、痛みや疲労の程度、活動後の反応に大きな個人差があります。
参考:Macfarlane GJ, et al. EULAR revised recommendations for the management of fibromyalgia. Ann Rheum Dis. 2017. / 線維筋痛症に対する運動療法の各種システマティックレビュー・メタ解析。
運動だけではありません。
線維筋痛症では、運動療法の有効性が多くの研究で報告されています。 ただ、痛みや疲労が強い状態で 「とにかく運動しましょう」 と言われても、難しいことがあります。
痛みを理解する
痛みが続く仕組みや、痛みと身体の状態について一緒に整理します。
感覚を整理する
身体から入ってくる感覚や、身体をどのように感じているかを確認します。
身体を動かす
身体の反応を確認しながら、無理のない運動や日常生活へつなげていきます。
痛み・感覚・運動を切り離さずに考える。
それが、Plusimの線維筋痛症リハビリの基本です。
NOCIPLASTIC PAIN
様々な視点でみることが大切。
線維筋痛症は現在、 痛覚変調性疼痛(nociplastic pain) が強く関わる代表的な病態の一つとして考えられています。 これは、痛みを単純に筋肉や関節の問題だけでは説明できないことを意味します。
これまでのイメージ
痛い場所に原因がある
筋肉や関節など、痛みを感じている部位そのものを中心に考える見方です。
現在の考え方
痛みを調節する仕組みも見る
神経系、感覚、睡眠、疲労、活動量、ストレスなど、 痛みの感じ方に影響する複数の要素を含めて考えます。
参考:IASPによるnociplastic painの概念、および線維筋痛症の疼痛機序に関する近年のレビュー。
PAIN NEUROSCIENCE EDUCATION
「痛みって何?」
知ることも、リハビリです。
Plusimでは、身体を動かすことと同じくらい、 「自分の痛みをどう理解しているか」 を大切にしています。
「これだけ痛いなら、身体が壊れているのでは?」
「動いたら、もっと悪くなるのでは?」
「痛みがなくなるまで、動かない方がいい?」
WHAT IS PNE?
「なぜ痛いのか」を 一緒に整理する。
PNE(Pain Neuroscience Education:疼痛神経科学教育)は、 痛みがどのように生じ、 なぜ長く続くことがあるのかを、 患者さんと一緒に整理していく方法です。
大切なのは、難しい神経科学を覚えることではありません。 「痛い=身体が壊れている」 「痛い=動いてはいけない」 と単純に考えるのではなく、 今の身体で何ができるのかを一緒に確かめていくことです。
痛みに対する見方を変えていく
BEFORE
痛いから、動けない
AFTER
どこまでなら、安全に動ける?
痛みを知る
今の痛みをどう捉えているか整理する
身体を確かめる
感覚や身体の反応を実際に確認する
動いてみる
安全な範囲で身体を動かしてみる
経験を更新する
「動けた」という経験を次につなげる
EVIDENCE
PNEは線維筋痛症でも 研究されています。
線維筋痛症を対象としたシステマティックレビュー・メタ解析では、 PNEによる疼痛の改善が報告されています。 また、PNEを運動療法などと組み合わせた介入についても、 疼痛や線維筋痛症による生活への影響、 痛みに対する不安や破局的思考などへの改善が報告されています。
参考:Suso-Martí L, et al. Pain Med. 2022. / Saracoglu I, et al. Int J Rheum Dis. 2022.
PNEの目的は、知識を増やすことではありません。
身体をもう一度使っていくための準備をすること。
Plusimでは、その先の感覚・運動までつなげて考えます。
SENSORY APPROACH
運動と感覚から
身体と痛みを考える。
私たちが身体を動かすとき、 筋肉だけを使っているわけではありません。 身体から入ってくるさまざまな感覚をもとに、 脳と身体は「今、自分の身体がどうなっているのか」を確認しながら 運動を調整しています。
身体を動かすためには、
まず身体を「感じる」ことが必要です。
どこを触られているのか。 関節がどの位置にあるのか。 どのくらい力が入っているのか。 自分の身体がどのように動いているのか。 こうした情報を使いながら、私たちは姿勢や動きを調整しています。
Plusimでは、こんな「感覚」を確認します。
TOUCH
触れられた感覚
触れられている場所や刺激の違いを、 どのように感じ取っているかを確認します。
POSITION
身体の位置の感覚
関節や身体の一部がどの位置にあるのかを、 どの程度把握できているかを確認します。
MOVEMENT
動いている感覚
身体がどの方向へ、どのくらい動いているのか。 実際の動きと感じ方を確認します。
BODY PERCEPTION
自分の身体の感じ方
身体の大きさや左右差、力の入り方など、 自分の身体をどのように認識しているかを確認します。
感覚と運動は、別々ではありません。
感じる
身体から情報が入る
整理する
身体の状態を把握する
動かす
運動や姿勢を調整する
Plusimが「感覚」を大切にする理由
線維筋痛症のリハビリというと、
ストレッチや筋力トレーニング、有酸素運動などが中心になりがちです。
もちろん、これらの運動療法は重要です。
ただPlusimでは、
「うまく動けない身体に、ただ運動を追加する」だけではなく、
その前に身体をどのように感じ、どのように使っているのかを確認すること
も大切だと考えています。
感覚と線維筋痛症について
線維筋痛症では、疼痛だけでなく、 身体表象や感覚運動処理、多感覚統合などの変化についても研究されています。 また、小規模なランダム化比較試験では、 触覚や固有感覚を利用した知覚的リハビリテーションの可能性も報告されています。 一方で、感覚への介入については運動療法ほどエビデンスが確立しているわけではなく、 今後さらに研究が必要な領域です。
参考:線維筋痛症における触覚・身体表象・感覚運動処理に関する システマティックレビューおよび知覚的リハビリテーションの臨床研究。
SENSORY REHABILITATION
感覚を使った
リハビリ。
感覚のリハビリといっても、 特別な機械を使うわけではありません。 触れる、比べる、感じる、動く。 身体から得られる情報を一つずつ確認しながら、 実際の動きへつなげていきます。
触れる TOUCH
触れられた場所を確認する
身体のどこに触れられているのか、 左右で感じ方に違いがあるのかなどを確認します。 痛みだけでなく、触覚として身体をどう感じ取っているのかを見ていきます。
例えば
目を閉じた状態で腕や脚に触れ、 どこに触れられたかを答えてもらいます。 左右で同じ刺激をどのように感じるかも比較します。
比べる COMPARE
感覚の違いを見つける
強さや場所、刺激の違いを比べながら、 身体から入ってくる情報をより細かく確認します。
例えば
「どちらの方が強く感じるか」 「同じ場所に感じるか」など、 感覚の違いに注意を向けながら確認します。
位置 POSITION
身体がどこにあるのかを感じる
手足や関節が今どこにあるのかを確認します。 目で見る情報だけでなく、 身体そのものから得られる位置の感覚を使います。
例えば
片方の腕を一定の位置に動かし、 反対側の腕で同じ位置を再現します。 実際の位置と、自分が感じている位置を比較します。
動きを感じる MOVEMENT
動いている感覚を確かめる
身体がどの方向へ、どのくらい動いているのかを感じながら動かします。 大きく動くことより、 まずは動きそのものを丁寧に捉えることを大切にします。
例えば
肩や股関節をゆっくり動かしながら、 「どこから動いているか」 「どこまでなら力まず動けるか」を確認します。
動く MOVE
感じたことを、実際の動きにつなげる
感覚を確認して終わりではありません。 確認した身体の感覚を使いながら、 立つ、歩く、腕を上げるなどの実際の動作につなげます。
例えば
足裏の感覚を確認してから立ち上がる。 股関節の位置を確認してから歩く。 感じた身体と、実際の動きを結びつけていきます。
感覚を変えることが
ゴールではありません。
動くために使います。
Plusimが行う感覚のリハビリは、 痛みから気をそらすためだけのものではありません。 身体から入ってくる情報を確認しながら、 「自分の身体をどう感じ、どう動かしているのか」 を整理し、その変化を運動や生活につなげることを重視しています。
SENSORY PROCESS
すべての方に同じ感覚課題を行うわけではありません。 痛み、身体機能、感覚、動作を評価したうえで、 必要な方法を選択します。
FROM SENSATION TO MOVEMENT
感覚を整理して、
「動ける身体」へ。
感覚を確認すること自体がゴールではありません。 Plusimでは、感覚のリハビリで得られた身体の気づきを、 運動や日常生活の動きにつなげていくこと を大切にしています。
できることから始めて、身体の反応を見ながら広げていきます。
線維筋痛症では、調子がいい日に頑張りすぎて、その後に強い疲労や痛みが出ることがあります。 そのため、最初から「何分歩きましょう」「何回筋トレしましょう」と決めるのではなく、 その方の体調や翌日の反応まで確認しながら負荷を調整します。
AEROBIC
有酸素運動
ウォーキングや自転車などを、その方が続けられる強度から始めます。 時間や距離よりも、まずは継続できることを重視します。
STRENGTH
筋力トレーニング
必要な筋力や身体機能を確認しながら、 強すぎない負荷で少しずつトレーニングを進めます。
MOVEMENT
動作練習
立つ、歩く、腕を上げる、家事をするなど、 実際に困っている動作を一緒に確認しながら練習します。
DAILY LIFE
日常生活の調整
仕事、家事、外出など、実際の生活の中で無理なく活動を続けられる方法を一緒に考えます。
感覚から、生活までつなげます。
「頑張りすぎない」ことも、リハビリの一つです。
調子の良い日に一気に活動し、その後数日休むという波を繰り返すよりも、 その日の状態に合わせて活動量を調整し、安定して続けることを目指します。 Plusimでは、運動量だけでなく、生活全体のペースも一緒に考えます。
線維筋痛症では、有酸素運動や筋力トレーニングを含む運動療法の有効性が複数のガイドライン・システマティックレビューで報告されています。 Plusimでは、こうした運動療法を一人ひとりの状態に合わせて取り入れます。
REHABILITATION PROCESS
Plusimではこんな流れで進めます。
同じ線維筋痛症でも、痛みの出方や疲労、身体機能、 困っている生活動作は一人ひとり違います。 そのため、決まったメニューを全員に行うのではなく、 評価しながら内容を組み立てていきます。
ASSESSMENT
今の状態を整理する
まず、痛みだけを見るのではなく、 身体機能や感覚、活動量、疲労、睡眠、 日常生活で困っていることなどを確認します。
UNDERSTAND
痛みを理解する
痛みがどのようなときに強くなるのか、 動くことにどんな不安があるのかを整理します。 必要に応じてPNEを取り入れながら、 痛みと身体の関係を一緒に考えます。
SENSATION
感覚を整理する
触れられた感覚、身体の位置、 動いている感覚などを確認します。 必要に応じて感覚課題を行いながら、 身体をどのように感じているのかを整理します。
MOVEMENT
身体を動かす
感覚を確認しながら、 実際の動作や運動につなげていきます。 必要に応じて筋力トレーニングや有酸素運動なども取り入れます。
DAILY LIFE
生活につなげる
最終的にはリハビリの時間だけ動けることではなく、 家事、仕事、外出、趣味など、 その方が必要としている生活の中で身体を使えることを目指します。
OUR GOAL
最終的な目標は、「自分で調整・管理ができること」。
痛みがあるたびに誰かに身体を整えてもらうのではなく、 自分の身体の状態を理解し、 「今日はどのくらい動くか」 「どんな運動をするか」 「少し休んだ方がいいか」を自分で判断できること。 そこまでをリハビリとして考えています。
CONSULTATION
こんな方は、一度ご相談ください。
- 線維筋痛症と診断され、リハビリを探している
- 運動した方がいいと言われたけれど、痛みが怖くて始められない
- 動くと翌日に痛みや疲労が強く出てしまう
- 筋力や運動だけではなく、感覚や身体の使い方からも見てほしい
- 自分に合った運動量や身体の使い方を知りたい
CONTACT
線維筋痛症のリハビリについて、
まずはご相談ください。
「今の状態でもリハビリを受けられる?」 「自分の場合はどんなことをする?」 といったご相談でも大丈夫です。 痛みや生活の状況を伺いながら、リハビリの進め方をご案内します。
ご相談内容を確認のうえ、Plusimよりご連絡いたします。
医療機関での治療と並行してご利用いただけます
Plusimのリハビリは、線維筋痛症の診断や薬物治療に代わるものではありません。 医師による診断・医学的管理を受けながら、 身体機能、感覚、運動、日常生活の側面からサポートします。
参考文献
- Macfarlane GJ, et al. EULAR revised recommendations for the management of fibromyalgia. Ann Rheum Dis. 2017.
- Suso-Martí L, et al. Effectiveness of Pain Neuroscience Education in Patients with Fibromyalgia: A Systematic Review and Meta-Analysis. Pain Med. 2022.
- Saracoglu I, et al. Efficacy of adding pain neuroscience education to a multimodal treatment in fibromyalgia. Int J Rheum Dis. 2022.
- International multidisciplinary Delphi recommendations on non-pharmacological interventions for fibromyalgia.
- 線維筋痛症における身体表象・感覚運動処理・ 知覚的リハビリテーションに関する臨床研究およびレビュー。