【痛みのリハビリ必見】痛みは感覚だけじゃない?ー痛みの3つの側面ー

人には五感(視覚・嗅覚・聴覚・味覚・触覚)や体が動いている感覚(深部感覚)、意識できない内臓感覚などたくさんの感覚によって不自由なく生活ができています。

この他にもう1つ重要な感覚が【痛覚】です。

通常痛みは、身体に生じている異常や危険を知らせるためにあってリハビリテーション(以下、リハビリ)では多くの方が感じています。よって、痛みについての知識とその対処法や治療方法についての知識や方法を知らなければ、我々療法士はリハビリができません。

この痛みですが、近年の研究の成果もありかなり多くのことがわかってきています。本記事ではその中の1つ、痛みが単なる感覚ではない点について紹介していきます。リハビリに携わる人はもちろん、痛みに悩まれている方も痛みについて正しく理解することは治療に有効ですので、ぜひご参考ください。

痛みの『3つの側面』

まずはこちらをご覧ください。

1)を参考に図式化

痛みには、感覚的側面、情動的側面、認知的側面の3つの側面があるとされています。1)

感覚的側面は、主に痛みの部位や強さなど通常の感覚と同じ側面を指しています。「少し膝が痛い」と感じた時の【少し】と【膝】は、この感覚的側面から感じています。

情動的側面は、痛みを感じた時の情動の変化を指します。「膝が痛いから歩くのが嫌だな」とか「膝が痛いの嫌だな」の様に、通常は負の情動を引き起こします。

認知的側面は、今まで経験した痛みから今感じている痛みを分析し「なんで痛いんだろう?」など認識することを指します。「昨日久しぶりに走ったから足に筋肉痛がある」の様に、人は痛みの原因を理解することで安心する特徴があります。

通常痛みを感じる時は、この3つの側面が同時に働きます。これは脳の研究でも明らかにされていて、痛み刺激が身体に入力されると、感覚を処理する感覚野だけでなく情動に深く関与する島皮質にも伝達されます。
この3つの側面はリハビリにおいて必須とも言える考え方で、1週間で消えるとわかっている痛みがある場合と、痛みがなくなるまで数ヶ月かかる痛みがある場合では患者の心理状態は大きく変化します。また、長期間痛みを感じ続けると脳の活動性が変化してしまい痛みに敏感になったり、認知力が低下したりします。
つまり、痛みは単なる感覚ではなく、情動や認知面にも大きな影響を及ぼす可能性があるため、包括的なアプローチが求められる難しい症状です。特に原因が明らかでない線維筋痛症をはじめとする慢性痛では、うつ症状を併発したり記憶力が低下するなどの症状がみられることもあり、慎重に進めていく必要があります。

慢性痛のリハビリにおいて重要なこと

骨折は治っているのに痛みが残ってしまった時や、そもそも痛みの原因がわからない時は体以外にも問題があるケースがほとんどです。

ですが、患者は自分の体が痛いから体に問題があると考えがちで、情動面や認知面の問題を自覚しにくい状態です。痛みのリハビリでは、患者側が正しい知識を持つことが非常に重要です。

「なぜ痛いのか?」をいろいろな可能性から考えたり、持続する痛みによって自分が今どんな状態なのかを理解することが、痛みを改善していくためには必要です。
その時、本記事でご紹介した【痛みの3つの側面】を知っているとご自分の痛みの理解が深まります。慢性痛に有効とされている認知行動療法やマインドフルネスの様な身体以外にアプローチする方法も、選択肢として持つと良いと思います。

1)森岡 周:疼痛の神経心理学ー身体性と社会性の観点からー.神経心理学,32:208-215,2016.

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